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【コラム】月経前は血糖値が上がりやすい!?ホルモン変動から紐解く血糖値の動き

こんにちは!
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今回もこの方から教えていただきます!

料理教室Health Table 代表 土岡由季


13歳で発症した“1型糖尿病”を機に、幼い頃から食や健康についての学びを深め大学では生命科学を、大学院では食品化学を専攻。
大学院修了後は製薬会社開発職に4年半勤務。
糖尿病や肥満症をはじめ、数々の新薬開発に携わる。
現在は
[糖尿病でも大丈夫、大切な人と笑顔溢れる食卓を]
をモットーに、血糖値管理のための正しい知識や実践法を“料理”を通じて伝えている。
血糖値や料理を題材にしたお役立ち記事が並ぶInstagramも人気。

月経前に不調を感じることはありませんか…?

月経前にイライラや、浮腫や肌荒れなどの不調を感じることはありませんか?
こうした月経前の心や体の変化は、「ホルモンの変動」が関与していると考えられています。
この「ホルモンの変動」は、血糖値にも影響を及ぼし、さらなる身体の不調を引き起こす可能性があるのです。
今日は月経と血糖値の関係について、ホルモン変動の視点から、わかりやすく解説いたします。
さらに、後半では月経前でも快適に過ごすための方法についても紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

月経前後のホルモン変動は?

月経前後で身体の中でどんなことが起こっているのか?子宮内のホルモンの変動を見ていきましょう。卵巣から分泌される女性ホルモンは、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2つがあります。
月経のある女性の心と身体の状態は、これらホルモンの影響を受け、約1カ月の周期(=月経周期)で変動しているのです。[1]

月経と血糖値の関係とは?

月経の前後で、食事内容や食欲など、感情の変化を感じる女性も多いのではないでしょうか。
糖尿病を持つ女性は、こうした心身の変化そのものが血糖値の乱れにつながる恐れがあります。

・月経前 (黄体時期)

月経前14日前後より黄体期になると、プロゲステロンの分泌が盛んになります。
このプロゲステロンの働きにより、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効きが悪くなる(=インスリン抵抗性が高まる)ことが考えられているのです。
1型糖尿病女性への調査結果では、月経周期に伴い血糖値が変動する人が約6割との報告があります。
一方、糖尿病のない人を対象とした研究では、月経周期の日数に変動が大きい人は、小さい人に比べて黄体期の空腹時の血糖値が高いことが示唆されています。

・月経後 (卵胞期)

エストロゲンの分泌が上昇します。これにより、インスリンの効きが良くなる(=インスリン感受性が高まる)と考えられており、血糖値のコントロールが良好になりやすい時期となります。 
個人差はありますが、このように、糖尿病の患者さんだけでなく、健常な人でも月経と血糖値の変動に関係がある可能性があるのです。[2,3]

月経前の血糖値をコントロールする方法は?

血糖値は食事により大きく変動します。食後の血糖値変動や改善策は、過去記事:食後の眠気…それ、血糖値上昇によるものかも?!もあわせてご覧ください。

血糖値は、このように食事の時に変動しますが、空腹の時にも絶えず血糖値は変動しています。
特に月経前は、食欲が増えたり些細なことでイライラするなど、PMS (月経前症候群)により、生活や行動に変化があるかもしれません。
そんな時は血糖値を上げずにリラックスできる方法を実践してはいかがでしょう。

・飲み物は、糖質及びカフェインを含まない、ハーブティーや水を選択する。

・おやつは、お砂糖たっぷりのものではなく、ナッツ類や果物など、自然由来のもにシフトする。

・ぬるめのお湯にゆっくりと浸かる。

・ストレッチをして身体をほぐす。

・近場の買い物は車でなく徒歩にして身体を動かす。

軽い運動など身体を動かすことにより、筋肉で糖が使われるため、血糖値の上昇を抑えてくれます。
また、運動自体がリフレッシュになり、気分転換にもなるかもしれません。

デリケートな時期こそ、身体を大切に

血糖値と月経との関係について、ホルモン変動の視点から解説しました。
女性の身体って複雑だな、と感じた方も多いのではないでしょうか。
月経前はホルモンの変動により、身体も心も変化しやすい時期です。
だからこそ、“自分自身の身体と向き合う大切な時期“と捉えて、心も身体も満たしてあげることを意識してみましょう。

【参考文献】(すべて2022年6月24日閲覧)

[1]日本産婦人科学会. 女性の健康Q&. 月経について教えて下さい

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

[2]田中 佳代, 糖尿病女性のウィメンズヘルスに関わる支援ネットワーク, 2018, 日本糖尿病教育・看護学会誌, Vol. 22 No. 1 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaden/22/1/22_66/_pdf

[3] 藤田 晶子 他, 月経周期と血糖値の関連性, 2007, 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kasei/59/0/59_0_91/_article/-char/ja/

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