【コラム】冬場のお風呂はヒートショックに要注意!
11月半ばになり布団が恋しい季節になりましたね。
金木犀の花香も落ち着き、澄んだ空気の肌寒さを感じ始めて、季節は秋から冬に移り変わる時期でしょうか。
寒い季節になると、1日の終わりは暖かいお風呂でリラックスタイムにしよう!と思っている人も多いのでは?
しかし、そのリラックスタイムが一歩間違うと「ヒートショック」という身の危険につながるかもしれません。
寒い冬のリラックスタイムをより快適安心にするために、ヒートショックの仕組みと対策についてご紹介していきます。
ヒートショックってなに?
ヒートショックという言葉はなんとなく耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
これは、急激な温度変化によって体がダメージを負うことを言います。
冬場に発生が多く、中でも入浴中の事故がとても多いそうです。これは、おうちの中の寒暖差が原因で、特に暖房の効いたリビングから脱衣所に移動し、浴槽に入るときなどに起こります。
リビングから脱衣所、浴室へ入るときに寒さで血圧が上昇します。
その後、浴槽に入ると急に身体が温まり、血圧が低下していきます。
こうした急激な血圧の乱高下によって心臓に負担がかかります。
軽症のヒートショックであれば、めまいや立ちくらみ程度で済みますが、最悪の場合、「脳卒中」や「心筋梗塞」、「脳梗塞」などの病気を引き起こしてしまう可能性があります。
また、厚生労働省の「人口動態調査」によると、高齢者 の「不慮の溺死及び溺水」による死亡者数は高い水準で推移しており、近年では「交通事故」による死亡者数よりも 多くなっているそうです。[1]
ヒートショックは予防できる
寒さが厳しくなると、温度差による事故のリスクが上がる可能性があります。
そのため、ヒートショックの仕組みを理解して対策をすることが大切です。
お風呂でのヒートショック対策は次の3点に気をつけましょう!
1.脱衣所と浴室を暖める
暖かい部屋との温度差をなくすために、脱衣所と浴室を暖めておきましょう。
脱衣所は暖房機を置いて入浴する数十分前から暖めておくのが効果的です。
浴室は、浴室乾燥暖房機などを設置している方は、お風呂に入る前に運転を開始してしっかりと暖めておきましょう。
設置していない方でも、湯船が張ってあるのであれば蓋を外して置くだけでも浴室の温度をあげることができます。
2.お風呂の温度を高くし過ぎない
お風呂の温度が42℃以上になると、心臓に負担をかけてしまいます。
そのためお風呂を沸かす際には、41度以下に設定することを心がけると良いです。
自動お湯はり機能があるリモコンでは、湯はりの温度を設定することができるので使用してみてください。
また、入浴するときは初めに掛け湯などで、心臓から離れた手や足から徐々に暖めてから入浴することも効果的です。
3.浴槽から急に立ち上がらない
入浴中はお湯で体に水圧がかかっています。
その状態から急に立ち上がると体にかかっていた水圧がなくなり、圧迫されていた血管が一気に拡張して脳に行く血液が減り、脳が貧血状態 になることがあります。
この状態では一過性の意識障害になる場合があり、浴槽内に倒れて溺れる危険があります。
浴槽から出るときは、 手すりや浴槽のへりを使ってゆっくり立ち上がるようにしましょう。
まとめ
今回はお風呂でのヒートショックの仕組みと対策についてご紹介してきました。
浴室や脱衣所は特におうちの中でも北側に位置している場合が多く、暖房設備がない場合が多いです。また、おうちの断熱性能によって違いが出てきますが、お風呂でなくとも寒暖差があるところで過ごす場合は、常にヒートショックの危険性があります。
おうちのリフォームを考えるタイミングがあったら、熱が逃げやすい窓を二重窓にしたり、浴室暖房の設置を検討してみてください。
寒い季節は特に、1日の終わりに暖かいお風呂で早くリラックスしたいと気持ちがはやってしまいますが、急激な温度変化によるヒートショックに気をつけましょう!
【参考文献】(すべて2022年11月16日閲覧)
[1] 消費者庁ニュースリリース「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!-自宅の浴槽内での不慮の溺水事故が増えています- 」令和2年11月19日
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_042/assets/consumer_safety_cms204_20201119_02.pdf