
暑さに負けない!夏の植物のお手入れ術― ベランダ・庭・室内別、シーンごとの対策とNG例 ―
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今回はこの方から教えていただきます!
芦沢高原ハーバルパーク
管理責任者
中村 雅美(なかむら まさみ)
県内大学卒業後、新潟市内の大型園芸店で勤務。主に花苗関連とガーデニング教室を担当。結婚を機に退職するも縁あって阿賀町津川の芦沢高原ハーバルパークへ。グリーンアドバイザー、初級ハーブインストラクター。越後天然ガスのガーデニング教室を10年以上担当。老後の夢は自宅にローズガーデンを作ること。

春から夏に季節が移り替わり暑さが一層厳しさを増すこの時期は、植物にとっても過酷な季節です。気づいたら葉がしおれていたり、いつのまにか土がカラカラになっていたり……という経験はありませんか?今回は、ベランダ・庭・室内の環境別に、植物が元気に夏を乗り切るためのお手入れポイントをご紹介します。よくあるNG行動とその改善方法も交えて、植物との快適な夏の過ごし方もお伝えします。
夏の植物にとってのリスク(暑さ・直射日光・乾燥)

春に一斉に今年初めての花を咲かせた植物たちは、季節の移り変わりとともに強まる日差しや上がる気温に適応しようと必死に頑張ります。ですが、そんな植物のもつ自然の生命力をもってしても、どうにもならないことがたくさんあります。
たとえば、日差しが強すぎると、本来ならのびのびと広がるはずの葉が小さく丸まったり、変色してしまったりします。室内の観葉植物を日光浴させたつもりが、葉がやけどしたように茶色く枯れてしまうこともあります。思っていた以上に鉢植えの成長が進み、根が土いっぱいに張っていると、わずか半日で水切れしてしまうことも。夕方までにカラカラに乾き、ぐったりとしおれてしまうと、水をあげても元に戻らないことがあります。
また、工夫して作った花壇や寄せ植えの植物たちが、いつの間にか数が減ってしまう…そんな経験をされた方も多いのではないでしょうか。これらは毎日のお世話の中でよくある光景です。(すべて私自身の経験談です!)
夏のお手入れのポイント

ベランダ周辺ー 日当たりが強くなりがち → スダレやシェードで日よけ
ベランダは、集合住宅の上層階になるほど日当たりが良く、コンクリートは日差しを浴びるとかなり高温になります。さらに、明るい色の床や壁は光を反射しやすく、植物が日焼けしやすい環境になりがちです。私たちが日傘で日差しを和らげるように、植物にも適度に光を弱めてあげると活動が活発になり、体力の維持にもつながります。例えば、柵に遮光ネットを張る、すだれを立てかける、床に人工芝を敷いたりする方法などが有効です。
風通しの工夫(鉢の配置)
新鮮な空気が循環することは、植物にとって健やかな生育環境を作るために欠かせません。鉢と鉢の間には十分な空間を保てるように、葉と葉が触れ合わない程度の空間が目安です。
ここで、私自身の失敗談を紹介します。以前、植物同士が密に触れ合うほど近くに植え込み、とても豪華な仕上がりに大満足していました。ところが、喜んだのも束の間、一週間後には陰になっていた部分が柔らかく黒く腐ってしまったり、突然葉が黄色くなって成長しないまま落葉し、枯れてしまったのです。
いったい何が起こったのでしょうか? それは、先ほど述べた「良い生育環境」とは真逆の状態になってしまったからです。密に植えると花束のように美しく見えますが、植物にはお互いが成長するためのスペースが必要です。それがギュッと詰まってしまうと、思うように伸びることができず風も通らないため、湿気がこもり過湿状態になります。結果として、空気中の雑菌が繁殖し、腐敗菌によって部分的に腐ってしまうのです。
また、大きな植物の陰に入ると必要な日光が届かず、光合成ができなくなって葉が黄色くなることもあります。特に日光を必要とする植物に多い現象で、葉が傷むとエネルギーを作り出せなくなり、成長や開花が止まってしまうのです。
このような現象を防ぐには…
・植え付ける植物が成長する大きさを知ったうえで、生育するスペースを確保すること。
・植え付ける植物の好む環境を知って、日光の当たるところか、直射日光の当たらないところへ植えるのかなど、適切な植え場所・置き場所を選ぶこと。
この二点が特に大切なことです。
鉢底から水が抜けやすい工夫
おしゃれな輸入物の陶器鉢には、底に小さな穴が一つだけ空いているものが意外と多くあります。(なぜなんでしょうね?)
素材にもよりますが、水はけがあまり良くない場合が多いので注意が必要です。心配な鉢には、底に軽石の鉢底石を多めに入れるのがおすすめです。また、鉢を地面に直接置くと排水しづらくなるため、すのこを敷いたり、小さめのブロックを複数置いて風通しを良くしてあげると安心です。
最近では、プラスチック製の鉢は底にさまざまな工夫が施され、排水性がとても良くなっています。見た目のデザインだけでなく、普段は見えない鉢の底にもぜひ注目してみてください。
庭編ー直植え植物は朝夕の水やりが重要
庭や花壇に植えたばかりの植物は、まだ新しい土地に根を張れていないため、とてもデリケートです。様子をよく観察し、ぐったりしていて明らかに水が足りないようであれば、すぐに水を与えましょう。植え付けから数週間後、新しい芽や枝を伸ばし始め、ぐったりする頻度が減ってきたら、根付いたサインです。それまではしっかり見守ってあげてください。
水やりは、気温が上がる前の「早朝」と、日が傾いた「夕方」が最適です。昼間に太陽に焼かれ、風に吹かれて乾いた植物は、夕方の水やりでしっかり潤いを補給し、翌日の暑さに備えます。朝の水やりには、土や周囲の温度上昇を遅らせる効果があり、葉に水をかける「葉水」は空間の温度を下げる役割を果たします。特に猛暑の時期は、朝夕の1日2回の水やりをおすすめします。
また、すでに根付いている植物も、近年の猛暑で調子を崩すことが増えています。草花だけでなく、植えてから5年、10年経った落葉樹であっても、1か月ほど雨が降かないと葉をすべて落とし、命の危機にさらされることがあります。
まとまった雨が降らなくなってから1週間ほど経ったら、新芽が枯れていないか、葉の色が黄色くなっていないかを確認しましょう。これらは水不足のサインです。樹木も例外ではなく、水やりが必要です。
雑草対策も大事(根の競合)
植えた花たちを囲むように生えてくる雑草たち。これらは、花と肥料や水、日光を奪い合うライバルです。しかも、雑草はもともとその土地でたくましく育ってきた「先住者」なので、後から来た花たちに負けるつもりはありません。
雑草はできるだけ小さいうちに摘み取り、引き抜くことが大切です。大きくなってしまうと、抜くのもひと苦労ですし、いいことは一つもありません。(わかっていても、なかなか難しいものですが…)
マルチングで乾燥予防
マルチングは、乾燥を防ぐためのとても優れた方法です。むしったスギナなどの雑草も、株元に敷けば立派なマルチング材になります。(ただし、種や根がついていない雑草に限ります。)
予算に余裕のある方は、ウッドチップや美しい砂利など、園芸店で販売されているさまざまな材料を使うのもおすすめです。これらを使う場合は、あらかじめ防草シートを敷いておくと、材料が土に入り込むのを防ぎ、長持ちさせることができます。さらに雑草も生えにくくなり、一石二鳥です。
室内編
室内で楽しむ植物は、主に観葉植物や多肉植物などに分けられます。原産地によって管理方法が大きく異なるものも多いので、育て方に不安がある場合は、事前によく調べておくことをおすすめします。
窓辺はレースカーテンで直射日光を防ぐ
植物は成長のために日光が必要ですが、中には強い光がかえって害になる種類も少なくありません。そんなときは、レースカーテンを使うと、強い光をやさしく和らげることができます。直射日光に弱い種類には、レースカーテンが必須アイテムです。
また、種類によっては、徐々に時間をかけて強い光に慣らすことで、屋外でも楽しめるようになるものもあります。(ユッカやベンジャミンなどがその例です。)
エアコンの風が直接当たらないように
じめじめと湿った熱帯雨林を原産とする観葉植物は、エアコンの乾燥した冷たい風に当たると弱ってしまいます。エアコンの風が直接当たらない場所を定位置にするよう心がけましょう。
水やり頻度を控えめに(蒸れ注意)
「水やり10年」という言葉が昔から園芸の世界でよく言われています。これは、植物にとってちょうどよい水やりを身につけるには、それほど長い経験が必要だという意味です。
基本は「乾いたらしっかり与える」こと。ですが、土の表面を見ただけでは乾いているかどうか分かりにくいことがあります。そんなときは、ぜひ土に触れて確認してみてください。指を少し強めに押し当てると、表面の乾き具合だけでなく、中の湿り具合も感じ取ることができます。
それでも判断が難しい場合は、鉢を持ち上げてみるのも一つの方法です。水やりをした直後はずっしり重い鉢も、乾くと意外に軽く感じられます。
「水のやりすぎに注意!」と言われるような乾燥を好む植物なら、鉢が軽くなるくらいまでしっかり乾かしてから水を与えると、かえって元気に育つことが多いです。
水やりは園芸の基本でありながら、とても奥が深い作業です。必要なときには、底穴から水が流れ出るほどたっぷり与え、必要ないときにはぐっと我慢して与えない——そんな見極めと忍耐力が、まるで試されているかのようです。
よくあるNG例とその改善方法

1.真昼の水やりは要注意!涼しい時間帯に与えよう
日差しが厳しい真昼にいつも通り水やりをすると、蒸れて根が傷む恐れがあります。これは、太陽で熱くなった土の熱によって、与えた水が瞬時にお湯のような状態になってしまうためです。このようなトラブルを防ぐために、水やりは朝か夕方の涼しい時間帯に行うのが基本です。
しかし、ぐったりとお辞儀するほど水切れを起こし、どうしても日中に水を与えなければならない場合は、まず鉢植えを涼しい日陰に移動させましょう。そして、土の温度を下げるために新鮮な水を何度も繰り返し与えます。鉢の中に含まれる熱い空気が水で押し流されることで、土の温度が一気に下がります。
しおれが回復したら、再び日向に戻してあげましょう。
2.室内植物も光が大切!できるだけ明るい場所へ
常に日光の少ない室内に置きっぱなしの植物は、ひょろひょろと細長く育ちがちです。新芽の勢いも弱くなり、体力や抵抗力も低下してしまいます。できるだけ窓辺の近くなど、明るい場所を定位置にしてあげましょう。
もし可能であれば、木陰など直射日光を避けられる明るい場所で定期的に日光浴させると、さらに丈夫で元気な株に育ちます。
3.定期的な植え替えで元気をキープ!
購入してから何年も植え替えをしていないと、土の水はけが悪くなり、急に成長が鈍ったり弱ったりすることがあります。肥料を与え、適度に水やりをしていれば植物は順調に成長し、やがて鉢の中は根でいっぱいになります。すると、根詰まりを起こして成長が止まってしまうのです。大きく育てたい場合は、2年に1度くらいを目安に、少し大きめの鉢に植え替えることをおすすめします。
一方、大きくしたくない場合は、肥料を控えめに(通常の半分程度)し、伸びすぎた枝を適宜剪定してコンパクトに仕立てましょう。
また、剪定した枝は挿し木にして、新しい株を増やす楽しみ方もあります。
まとめ・ひとことアドバス
ここまで述べた失敗例はすべて自分で経験したことです。園芸歴が長いということは、それだけ多く失敗しているということとほぼ一緒です!(そうでない方もいらっしゃるかもしれませんが…) 上手く育てられなかった植物たちには本当に申し訳ないのですが、「失敗は成功のもと」という言葉がこれほどぴったりくることはないと思います。そのおかげでこうして皆さんに色々なアドバイスができると考えてみると失敗もしてみるものだと思えます。こんな失敗からですが、少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。ぜひ諦めないで、好きな植物を思いっきり楽しんでください。